国際私法 旧司法試験 平成9年 第2問

X女は甲国在住の甲国人であり、Y女は日本在住の甲国人である。Xは、その夫の甲国人AとYとの日本における不貞行為が原因となってXA間の婚姻が破綻するに至った、として、Yに対し慰藉料を請求する訴えを日本の裁判所に提起した。Xの請求の準拠法は何か。

1.改題(適宜)

律子

問題変える?

「慰『藉』料」は「慰『謝』料」(常用漢字)にしておきましょう。
問題文を殊更には変更・再掲しませんが。

その他は、不要かと。

2.出題趣旨(推測)

律子

なぜ出したのかな?

例えば、下記かと。

●男の不貞行為・婚姻破綻は、人類普遍の問題である。

●今回も男がやらかした。法例改正(平成元年)による男女平等の実現とは関係のない話である。違うものは違う(相対的平等)。人類普遍の原理。

●第1問では、純理論的と言いうる問題とした。第2問では、基本的・実際的な話を聞こう。

3.答案構成(例)

律子

どうする?

下記程度で十分かと。

第1 慰謝料請求  
1.原則:予見可能性あり
(1)離婚の問題ではない。不法行為に基づく慰謝料請求の訴えの問題。
(2)結果発生地(通則法17条本文):甲国
(3)甲国法
なお、例外(通則法20条)を認める事情はない。
また、準拠法変更(通則法21条)を認定する事情もない他、「不貞行為」は存在し「慰謝料請求」していることから、公序による制限(通則法22条)もない。

2.例外:予見可能性なし
(1)不法行為による慰謝料請求
(2)加害行為地(通則法17条ただし書き):日本
(3)日本法
なお、例外(通則法20条)を認める事情はない。
また、準拠法変更(通則法21条)を認定する事情もない。

第2 不貞行為
1.離婚の問題(通則法27条本文・25条)
2.甲国(共通本国)
3.甲国法(共通本国法)

第3 結論
不貞行為の有無(先決問題)については、前述の通り甲国法又は日本法が、慰謝料請求自体については、甲国法が、各々準拠法となる。

以上

4.答案(例)

律子

答案は必要?

不要かと。

5.雑感

律子

なにかある?

学是

特にないかと。

6.参考

答案構成(例):法例(平成元年改正後)

第1 慰謝料請求  
1.原則:予見可能性あり
(1)離婚の問題ではない。不法行為に基づく慰謝料請求の訴えの問題。
(2)結果(「事実」)発生地(法例11条1項):甲国
(3)甲国法
「不貞行為」は存在し「慰謝料請求」していることから、公序による制限(法例11条2項・3項)もない。

2.例外:予見可能性なし
(1)不法行為による慰謝料請求
(2)加害行為地(11条1項の例外としての解釈論):日本
(3)日本法

第2 不貞行為
1.離婚の問題(法例16条本文・14条)
2.甲国(共通本国)
3.甲国法(共通本国法)

第3 結論
不貞行為の有無(先決問題)については、前述の通り甲国法又は日本法が、慰謝料請求自体については、甲国法が、各々準拠法となる。

以上