国際私法 旧司法試験 平成2年 第1問

アメリカ合衆国デラウェア州法に準拠して設立され、ニューヨークに主たる事務所を有するA会社が、日本において契約を締結する場合、だれがA会社を代表すべきかは、いかなる国の法律によって定められるか。

1.改題(適宜)

律子

問題変える?

なぜ「ニューヨーク」には「州」が付いていないのか。

ただ、必要ないかと。

2.出題趣旨(推測)

律子

なぜ出したのかな?

例えば、下記かと。

●近時の受験生は、民法・民事訴訟法の習得に精一杯で、商法(会社法中心)まで手が回っていない。まぁ、商法は実務的要素が大きいので、それも仕方ない。将来も同じだろう。

●かといって、民法上の概念しか聞かない、ということでは、不十分だろう。今は、バブルであり、株式売買も盛んであり、(株式)会社に関する国際私法上の問題についても一応の知識・イメージぐらいは持つことが望ましい。

●ということで、設例は簡単にしつつ、会社の従属法等について聞いてみよう。

3.答案構成(例)

律子

どうする?

下記程度で十分かと。

第1 法性決定
「だれがA会社を代表すべきか」は、自然人を通じて行動する法人の本質に照らし、国際私法独自の観点から、法人の行為能力の問題であると性質決定される。
しかし、この点、通則法等に明文の規定は存在しない。

第2 連結点 
そこで、法人の行為能力の準拠法を決定するに際し、連結点の確定が問題となる。
1.この点、①法により生み出せる法人の本質、②基準の明確性、③法律回避の防止等から、設立準拠法説が妥当と解される。
しかし、設立準拠法を認識しないまま法人との取引に及んだ相手方の保護に欠ける可能性がある。
そこで、取引の安全保護のため、行為地法の適用(4条2項類推適用)をすべきと解される。
この点、同様の問題意識から、主たる事務所の所在地の法の適用することも考えられるが、何を以って「主たる」とするかは、行為地の確定以上に不明確であり、妥当ではない。
2.●法律回避:適法
3.本問においては、原則としてデラウェア州法により、それでは日本における取引の安全が確保できない場合、主たる事務所所在地法たるニューヨーク州法ではなく、日本法による。

以上

4.答案(例)

律子

答案は必要?

不要かと。

5.雑感

律子

なにかある?

学是

特にないかと。

6.参考

答案構成(例):法例(平成元年改正後)

第1 法性決定
「だれがA会社を代表すべきか」は、自然人を通じて行動する法人の本質に照らし、国際私法独自の観点から、法人の行為能力の問題であると性質決定される。
しかし、この点、法例等に明文の規定は存在しない。

第2 連結点 
そこで、法人の行為能力の準拠法を決定するに際し、連結点の確定が問題となる。
1.この点、①法により生み出せる法人の本質、②基準の明確性、③法律回避の防止等から、設立準拠法説が妥当と解される。
しかし、設立準拠法を認識しないまま法人との取引に及んだ相手方の保護に欠ける可能性がある。
そこで、取引の安全保護のため、行為地法の適用(3条2項類推適用)をすべきと解される。
この点、同様の問題意識から、主たる事務所の所在地の法の適用することも考えられるが、何を以って「主たる」とするかは、行為地の確定以上に不明確であり、妥当ではない。
2.●法律回避:適法
3.本問においては、原則としてデラウェア州法により、それでは日本における取引の安全が確保できない場合、主たる事務所所在地法たるニューヨーク州法ではなく、日本法による。
以上