国際私法 旧司法試験 昭和45年 第1問
昭和40年以来、大学の語学教師として日本に居住しているスコットランド出身のイギリス人が死亡し、その所有にかかる日本所在の家屋、書籍その他の財産の相続をめぐり、スコットランドに残っていたその妻子の間に争いが起きている。この相続問題の準拠法如何。
1.改題(適宜)
問題変える?
昭和45年(1970年)にもなって、「如何」って…イカンのでは!?
さて、形式論として、「スコットランド」・「イギリス」等と書くと、それら具体的な地域・国の具体的な国際私法・実質法も問題にしうるようにも思われますが、本問については、「準拠法」如何ということなので、実質法の内容には踏み込む等の必要はない、と読めます。
(なお、実質論としても、日本の司法試験の問題ですから、司法試験「法」の(仕組み!?)解釈として、日本国以外の国・地域の国際私法・実質法の具体的内容に踏み込む必要はない、むしろ踏み込んではいけない、と理解すべきでしょうね。)
また、財産の内容として、「家屋」の次に「書籍」って…亡くなった方(「名無しの権兵衛」(「名無しのSmith」!?)は「大学の語学教師」であり、高価な書籍(シェークスピアの戯曲のOriginal等)でも所蔵していたのでしょうかね。
さて、妻子をスコットランドに残し、昭和40年に日本に赴任してからまだ約5年。日本において家屋を所有までしていることから、長期間日本に居住する想定だったのかも知れませんね。仮にそうだとすると、急にお亡くなりになったのかも知れません。
(ただ、当時のイギリス人で日本に赴任するぐらいですから、いわゆる日本通であり、在留期間と関わりなく、いずれ別荘にでもするつもりでの家屋購入だったかも知れませんね。当時の語学教師の年俸水準は不明ですが、そもそも大金持ちの息子で、道楽で文学を学んでいた方かも知れませんしね。)
「妻子の間に争いが起きている」とあり、訴訟等の係属の有無は不明であることから、また問題文の末尾に照らし、(法廷地・手続的問題はさておき)日本の国際私法(狭義)に照らして検討すれば良いと理解しています。
結論としては、必要ないかと。
該当なし
2.出題趣旨(推測)
なんで出したのかな?
例えば、下記かと。
●いわゆる団塊の世代にも子供が生まれ始めている。彼女ら・彼らの人口規模の大きさ等から、いずれ「団塊ジュニア」とでも呼ばれる時が来るだろう。
●その団塊ジュニアが50歳前後となる頃には、団塊の世代を被相続人とする相続が多発し、ときに国際的な相続も問題となるだろう。勿論その手の書籍も多く出版されるはずだ。
●それはまだまだ先の話なので、現時点では、外国人を「主役」にした設問に止めておこう。
3.答案構成(例)
どうする?
下記程度で十分かと。
第1 相続(通則法36条)
1.同則主義
2.異則主義
第2 反致(通則法41条)
以上
4.答案(例)
答案は必要?
不要かと。
略
5.雑感
なにかある?
特にないかと。
6.参考
答案構成(例):法例(平成元年改正前)
第1 相続(法例(平成元年改正前)25条)
1.同則主義
2.異則主義
第2 反致(法例(平成元年改正前)29条)
以上